神戸物語 5 (転載禁止)亜希子、神戸へ出発編

この章・姫路での幕の進行は「塾」を経営している「私」が引き受けますね。 皆さん、宜しくお願いします。
今、亜希子ちゃん達、高校生は夏休みに入っています。一年生、亜希子ちゃんは高校の合格発表を一緒に見に言った真由美ちゃんと同じクラスになりました。真由美ちゃんとは中学も塾も同じで気心が知れていますからね、それなりに楽しい日々を過ごしたようですよ。
今日も塾に一緒に通ってきています。そうそう、勉強も二人でよく頑張りました。

 

 

ただ、やっぱり亜希子ちゃんにとっては、神戸に引っ越しした「メイちゃん」と過ごした日々がとても懐かしいらしくて「メイちゃんに会いたい。」と塾でいつも私に話をしています。

そして、明日、はじめて亜希子ちゃんは一人で電車に乗って神戸まで行く事になっています。
亜希子ちゃんの躾に厳しいお父様は亜希子ちゃんが一人で神戸に行く事を「危ない」と最初、反対されていました。
でもね、亜希子ちゃんはもう高校生です。いつまでも子供ではありませんし、お友達のメイちゃんに会いに行くわけですから、お父さん、大丈夫ですよ。きっと亜希子ちゃんにとって有意義な1日になるはずです。
なんていったって明日は、神戸で花火大会があるのですから。
8月上旬に毎年、神戸の夜景を背景に約一万発の花火が打ち上げらる花火大会が開催されます。
それは本当に見事なもので、きっと亜希子ちゃんにとってもメイちゃんにとっても素敵な思い出に
なるはず。
素敵な思い出をいっぱい作って亜希子ちゃんと
メイちゃんの友情がさらに深まる事を先生は祈っています。
友情ってかけがえのないものですものね。

亜希子ちゃん、また、帰ってきたら
神戸のお話を聞かせてくださいね。待っていますよ。

この章・姫路での幕の進行は「塾」を経営している「私」が引き受けますね。 皆さん、宜しくお願いします。
今、亜希子ちゃん達、高校生は夏休みに入っています。一年生、亜希子ちゃんは高校の合格発表を一緒に見に言った真由美ちゃんと同じクラスになりました。真由美ちゃんとは中学も塾も同じで気心が知れていますからね、それなりに楽しい日々を過ごしたようですよ。
今日も塾に一緒に通ってきています。そうそう、勉強も二人でよく頑張りました。

ただ、やっぱり亜希子ちゃんにとっては、神戸に引っ越しした「メイちゃん」と過ごした日々がとても懐かしいらしくて「メイちゃんに会いたい。」と塾でいつも私に話をしています。

そして、明日、はじめて亜希子ちゃんは一人で電車に乗って神戸まで行く事になっています。
亜希子ちゃんの躾に厳しいお父様は亜希子ちゃんが一人で神戸に行く事を「危ない」と最初、反対されていました。
でもね、亜希子ちゃんはもう高校生です。いつまでも子供ではありませんし、お友達のメイちゃんに会いに行くわけですから、お父さん、大丈夫ですよ。きっと亜希子ちゃんにとって有意義な1日になるはずです。
なんていったって明日は、神戸で花火大会があるのですから。
8月上旬に毎年、神戸の夜景を背景に約一万発の花火が打ち上げらる花火大会が開催されます。
それは本当に見事なもので、きっと亜希子ちゃんにとってもメイちゃんにとっても素敵な思い出に
なるはず。
素敵な思い出をいっぱい作って亜希子ちゃんと
メイちゃんの友情がさらに深まる事を先生は祈っています。
友情ってかけがえのないものですものね。

亜希子ちゃん、また、帰ってきたら
神戸のお話を聞かせてくださいね。待っていますよ。

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神戸物語 4 (転載禁止)夏休みを迎える編

この章・姫路での幕の進行は「塾」を経営している「私」が引き受けますね。 皆さん、宜しくお願いします。
今、亜希子ちゃん達、高校生は夏休みに入っています。一年生、亜希子ちゃんは高校の合格発表を一緒に見に言った真由美ちゃんと同じクラスになりました。真由美ちゃんとは中学も塾も同じで気心が知れていますからね、それなりに楽しい日々を過ごしたようですよ。
今日も塾に一緒に通ってきています。そうそう、勉強も二人でよく頑張りました。

ただ、やっぱり亜希子ちゃんにとっては、神戸に引っ越しした「メイちゃん」と過ごした日々がとても懐かしいらしくて「メイちゃんに会いたい。」と塾でいつも私に話をしています。

そして、明日、はじめて亜希子ちゃんは一人で電車に乗って神戸まで行く事になっています。
亜希子ちゃんの躾に厳しいお父様は亜希子ちゃんが一人で神戸に行く事を「危ない」と最初、反対されていました。
でもね、亜希子ちゃんはもう高校生です。いつまでも子供ではありませんし、お友達のメイちゃんに会いに行くわけですから、お父さん、大丈夫ですよ。きっと亜希子ちゃんにとって有意義な1日になるはずです。
なんていったって明日は、神戸で花火大会があるのですから。
8月上旬に毎年、神戸の夜景を背景に約一万発の花火が打ち上げらる花火大会が開催されます。
それは本当に見事なもので、きっと亜希子ちゃんにとってもメイちゃんにとっても素敵な思い出に
なるはず。
素敵な思い出をいっぱい作って亜希子ちゃんと
メイちゃんの友情がさらに深まる事を先生は祈っています。
友情ってかけがえのないものですものね。

亜希子ちゃん、また、帰ってきたら
神戸のお話を聞かせてくださいね。待っていますよ。f:id:enkei4616579:20161225010513j:image[uploading:51656C7C-1A11-4DCE-852E-60A048DBA637/L0/001]

神戸物語3 (転載禁止)メイの生い立ち編

こんにちは。はじめまして。
この章・神戸での幕は「メイ」の妹、私、「アン」が物語の進行を引き受けさせて頂きますね。

お姉ちゃん、失礼、「メイ」は神戸に引っ越した後、商業の専門学校に通い、うちの母と兄が開業した神戸・元町の高架下の商店街の骨董品のお店を手伝うようになります。「メイ」は妹の私から見ても本当にしっかりしていて、賢い人です。

 

 

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彼女はベトナム語・日本語・中国語・英語・フランス語と五カ国が話せるんですよ。凄いでしょ。そんな事から上に書いた仕事以外にも通訳も頼まれてしています。
性格は明るいし、人当たりが良いので商売にとても向いていると思うんです。お姉ちゃんがお店に手伝いに来るとお客さんの輪ができます。とても楽しそうに会話しているんですよ。会話が上手な「メイ」。私はそんなお姉さんが大好きです。
えっ、それより私?私の事ですか?私は十人いる兄妹の末っ子にあたります。幼い頃からお姉ちゃんの後をよく追いかけていました。ベトナムから日本へとうつりかわってきて、お姉ちゃんと私は一緒に様々な事を乗り越えてきたんです。とても絆が深い姉妹だと思いますよ。では、では物語を「再開」しますね。

「再開」
神戸に引っ越してから四ヶ月、「メイ」の元へ姫路に住んでいた頃にとても仲良くなった「亜希子」さんが会いにやってくるそうです。
メイはとても楽しみにしているみたいで
「アン、明日の日曜日、亜希ちゃんが元町まで
来てくるんやって。めちゃくちゃ会うん久しぶりやから、楽しみぃ。なぁ、アン、明日、どんな服きよ。どこ行こう。」
と、一日前から一人ではしゃいでいます。桜が美しかった三月に亜希子さんと別れてから、久々に会うんですものね。気持ちとてもよくわかります。


そして亜希子さん、無事合格した高校でどのように過ごされているのでしょうか?気になるところですね。明日、お元気なお顔が見れますように。私も楽しみにしています。
次章は「塾の先生」に語り手をバトンタッチしますね。皆さん、次にお会いできる時までご機嫌よう。

 

 

 

神戸物語 2 (転載禁止)高校受験結果発表編

三月、亜希子ちゃんはうちの塾に来ている別のお友達、真由美ちゃんと一緒に今から志望高校受験の結果発表を見に行くといって塾を出て行きました。

 

 

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受験した高校は山を切り崩した場所に建っていて、国道からおよそ自転車で15分、急勾配な坂を登った所にあります。粉雪がパラつく中、その坂を二人は自転車を一生懸命にこいで駆け上がって行きました。坂の右手には標高300メートルの山に通じる登山道があります。その脇にある坂ですから自転車で上るのはちょっと大変だとおわかり頂けるでしょうか?坂を上っていく事、約10分。校舎がやっと見えてきました。
「真由美ちゃん、ついたなぁ。見てん、人がいっぱいいる。」
「うん、すごいね。」
校舎の門、自転車置場を入ってすぐの場所に受験結果発表の掲示板が展示されていました。その前に何百人といった人集りが出来ていて、二人はその後ろで背伸びをしたり、飛んだり跳ねたりしながら掲示板を見ています。
「番号あるかな?」
「こんなに人がいると見えにくいね。」
「あっ、真由美ちゃん、あるよ。二人の番号。
見てん、一番右側から二番目の列の上から十番目と十五番目。」
「わぁ、ほんまや!あった。あった。」

良かった、二人とも合格です。お互い手を取り合って大喜びしています。
「寒いから早よ、帰ろ。先に塾の先生に
伝えてから家に帰ろか。」
「そうやな。そうしよ。」
二人はそう言って元来た坂を下っていきました。帰る時は、粉雪は止んで綺麗な夕焼けが空を覆っていましたよ。

亜希子ちゃんと真由美ちゃんの学生生活が
良いものになりますように、先生は祈っています。

 

 

 

 

神戸物語 (転載禁止)故郷での出会いと別れ編


この物語を私の最愛の友人、「メイ」の先日、亡くなったお母さまに送ります。


私が子供の頃、このあたりは田園地帯でした。
大半の住民は農家を営み、主に稲作、他、牛や豚を飼う酪農を生業としています。
うちは母が教育熱心だった為、農家を営みながら、繕い物の内職をし、私を女学校に通わせてくれました。戦後まもなくでしたから、家計は大変だったでしょう。それでも母はこれからの時代は学問が必要だと考えて女学校に通わせてくれたのです。
あれから三十年。田畑しかなかった私の家の前に中学校が建設されました。それはそれは立派な建物です。それからまた、十年、沢山の可愛い学生達が私の営む学習塾に学びに来てくれました。
今、目の前にいじめにあって泣いている子と
それを一生懸命慰めている子がいます。日本人の女の子とベトナム人の女の子。
私は二人がとても気になって会話の中に入りました。

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千九百八十年代、
夕焼け美しい中学校の校庭に「一人」座り込んでいる女の子がいます。名前は「亜希子」ちゃん。
亜希子ちゃんは虐めにあっていました。入部した
バレー部の先輩に目をつけられて「練習」という名の元、亜希子ちゃんめがけて、先輩達が打つアタックされたボールが何発も何発も飛び込んできます。それは頭、顔、腕、あちこちにあたり亜希子ちゃんは耐えられずその場に座り込んでしまいました。亜希子ちゃんは少し涙ぐんでいます。
亜希子ちゃんは群れるのが苦手で一人でいるのが好きなタイプ。先輩の誘いを一度、断った事があります。決して悪気はないんですよ。この行動が先輩の目に生意気だと映ったようでそれからこのような「攻撃」がはじまるようになりました。
「あいつは生意気だ」そんな声が何処からともなく聞こえてきます。
亜希子ちゃんはクラブ活動が終わってからもなかなか立てずにその場に座り込んでいました。
すると背後から「一緒に帰ろう」という声が聞こえてきたのです。
亜希子ちゃんはそんな言葉が自分にかけられるとは思いもしなかったので驚いて後ろを振り返ると、そうです。そこにベトナム人の女の子、メイちゃんが立っていました。
メイちゃんは今年四月にこの中学校に転入してきたばかりです。メイちゃんは亜希子ちゃんとは正反対の性格のようで初対面の子でも物怖じしません。積極的に話しかけています。
「何処に住んでるん?」「名前は?」
返事をするのを躊躇している亜希子ちゃんの心境をよそに次から次へのメイちゃんは亜希子ちゃんに質問します。面白いですね。亜希子ちゃんはその間、ぽかんとした表情でメイちゃんを見ているのですよ。
やっと亜希子ちゃんは
「◯◯町に住んでる」と答えました。
「◯◯町?やぁ、うちと近いやん。そしたら一緒に帰ろうよ。」
断る理由もないので亜希子ちゃんはゆっくりと
立ち上がり、メイちゃんと共に帰宅する事にします。メイちゃんは本当によく喋る女の子でした。
帰宅途中、一人で延々と話しをしています。
ケラケラとよく笑い、表情がコロコロと変わります。
暫く歩いているとメイちゃんが指差した場所がありました。亜希子ちゃんがその場所をよく見ると
「◯◯町の宿舎」と看板が立っています。
その場所は県営の宿舎でベトナムの難民の方々を受け入れる宿舎でもありました。メイちゃん一家は五年前にベトナムからご家族と共に入国し、つい最近、この宿舎に引っ越してきたのです。
と言ってもメイちゃんのお父様は日本の大学の講師として招かれてこの地にやってきたそうで
「うちは難民じゃないよ。」
とメイちゃんはよく話していました。
メイちゃんはお父様をとても尊敬して自慢していましたよ。「とても偉いんだ」って。
メイちゃんのお父様は台湾人と日本人のハーフ、
お母様はベトナム人。メイちゃんは実はクォーターなんです。そういえば、メイちゃんのお顔立ちはベトナムの方だけでない、日本人の血も混ざっているように見えます。

 

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一方、亜希子ちゃんのお家はメイちゃんの住まいから歩いて五分くらいの場所にありました。
お父様は会社勤めをされています。亜希子ちゃんに対してとても厳しくて何かと大声で怒鳴るんだとか。それも可愛い子供に対する親心。しっかりとした子に育てたいというお父様なりのお気持ちだったのでしょうね。でも、亜希子ちゃんはすぐに大声で怒鳴られるのを辛いと思っていました。
自分の思いをハッキリと伝えるメイちゃんとどちらかと言えば無口な亜希子ちゃんは正反対な性格。いわば補える性格というのでしょうか。これが良かったのでしょう。出会いからすぐに二人は行動を共にするようになり、お互いのお家にも行き来するくらいに仲良くなりました。うちの学習塾にも二人で来てくれるようになったんですよ。亜希子ちゃんは国語が得意です。メイちゃんは英語が得意です。メイちゃんの日本語の習得率は見事なもので苦手と言っていた漢字もスラスラと暗記して、日本のお子さん達と同レベルまで書けるようになりました。
メイちゃんの賢さ、努力、素晴らしいですね。
メイちゃんは、亜希子ちゃんによくこう言っていました。
「先輩の◯◯、ムカつくよな。亜希ちゃんを
虐めようとするなんて。私も前は日本語喋れへんかったからよう、クラスの子に虐められた。
私は何も悪くない。虐める方が悪いんやから。
私は誰にも負けへんねん。亜希ちゃんも負けたらあかんで。勝たな意味ない」
メイちゃんの言葉には強い決心と亜希子ちゃんに対する優しい思いがこもっています。この言葉を聞いてメイちゃんの優しい思いが亜希子ちゃんにも届いたようで、亜希子ちゃんも「強くなろう」と思いました。
亜希子ちゃん、一歩、一歩で良いのですよ。少しずつ強くなって前を向いて歩いて行って下さいね。

ある日の事です。メイちゃんに亜希子ちゃんの悪口を話す同級生がいました。
メイちゃんはその子に言いました。
「亜希ちゃんの事、何も知らんくせに悪く言うな。」
その同級生は暫くメイちゃんをじっと見て、その後、何処かへ行ってしまったそうです。
その話を後から亜希子ちゃんはメイちゃんに聞きました。
「◯◯、あの子、亜希ちゃんの事、何にも知らんくせに悪く言うんやもん。腹がたって言い返したよ」
亜希子ちゃんはメイちゃんの話を聞いてとても驚き、
「メイちゃん、ありがとう。私をかばってくれて本当にありがとう。」
と言いました。
その日から亜希子ちゃんにとってメイちゃんはより一層、大切な友人になったんです。
でも、それから二ヶ月後の卒業式の日、メイちゃんはお家の事情で神戸に引っ越しをする事になりました。
見送りの日、メイちゃんの住まいであった宿舎の門の前で亜希子ちゃんはメイちゃん一家の姿が見えなくなるまで大きく、大きく、何度も、何度も手を振っていました。
「メイちゃん、元気でね。また、神戸に行くからね。今までありがとう。メイちゃん!」
亜希子ちゃんの目は涙でいっぱいです。メイちゃんと別れるのが悲しくて仕方ありません。そんな亜希子ちゃんの背後には大きな桜の木があり、花びらが風に乗って吹雪のように散っていました。

 

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