神戸物語 2 (転載禁止)高校受験結果発表編

三月、亜希子ちゃんはうちの塾に来ている別のお友達、真由美ちゃんと一緒に今から志望高校受験の結果発表を見に行くといって塾を出て行きました。

 

 

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受験した高校は山を切り崩した場所に建っていて、国道からおよそ自転車で15分、急勾配な坂を登った所にあります。粉雪がパラつく中、その坂を二人は自転車を一生懸命にこいで駆け上がって行きました。坂の右手には標高300メートルの山に通じる登山道があります。その脇にある坂ですから自転車で上るのはちょっと大変だとおわかり頂けるでしょうか?坂を上っていく事、約10分。校舎がやっと見えてきました。
「真由美ちゃん、ついたなぁ。見てん、人がいっぱいいる。」
「うん、すごいね。」
校舎の門、自転車置場を入ってすぐの場所に受験結果発表の掲示板が展示されていました。その前に何百人といった人集りが出来ていて、二人はその後ろで背伸びをしたり、飛んだり跳ねたりしながら掲示板を見ています。
「番号あるかな?」
「こんなに人がいると見えにくいね。」
「あっ、真由美ちゃん、あるよ。二人の番号。
見てん、一番右側から二番目の列の上から十番目と十五番目。」
「わぁ、ほんまや!あった。あった。」

良かった、二人とも合格です。お互い手を取り合って大喜びしています。
「寒いから早よ、帰ろ。先に塾の先生に
伝えてから家に帰ろか。」
「そうやな。そうしよ。」
二人はそう言って元来た坂を下っていきました。帰る時は、粉雪は止んで綺麗な夕焼けが空を覆っていましたよ。

亜希子ちゃんと真由美ちゃんの学生生活が
良いものになりますように、先生は祈っています。